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リスクを飲むから良く噛み砕け

改めて「熊とワルツを」を読む

はじめに

 普段、勉強の手段として、よく本を読みます。これまで読んだ本のうち、毎年のように読み返す本が何冊かあります。そのうちの一冊が「熊とワルツを」です。リスク管理の心構えを学びたい人にはオススメの一冊です。この記事は2003年1月に購入した「熊とワルツを」を継続的に読んで得た心構えと実践を下敷きとしています。

熊とワルツを リスクを愉しむプロジェクト管理

熊とワルツを リスクを愉しむプロジェクト管理

一般論として

 Timers inc. では アジャイルでのサービス開発を行っています。アジャイルの基本は反復開発で、複数回のリリースが行われます。一般的には最初のリリースでリスクの大きい部分を開発して問題をなくしておくことで、その後のリスクを軽減しようとします。

よくある問題点

 よくある話でリスクが発現してからリスクを認識し始めるケースがあります。認識していないリスクは先に対応することすらできません。よく問題が発生すると、想定外という言葉で誤魔化されます。その問題は本当に想定できなかったのでしょうか?もしかしたら想定する作業すらしていなかったのではないでしょうか?
 (潜在的な)リスクが放置されている状態でプロジェクト推進すると、発現した時にサービスリリースへの影響、ひいては金銭的な影響、社会的な信用の低下など、事業者にとって受容不可能な問題が生じる危険があります。
 アジャイルだから、と言っておろそかにしてよい問題ではありません。また想定をするための努力は継続的に行なうべきものです。

今できること

 理想的な解決方法は……手厚く「PMBOK」の知識領域に含まれるようなプラクティスを実施することです。しかし、コストや状況にそぐわない過剰なリスク管理は、別の問題を引き起こすことがあります(例:いつまでもサービスがリリースできない)。
 私は大事なことは2つ、「注意深く観察すること」「最後にはリスクを飲む覚悟をする」だと考えています。

注意深く観察すること

 普段から観察された現象から、背景にリスクがある可能性を疑います。目の前にある事実は本当に全てでしょうか?正しく事実を述べらているでしょうか?
 基本は目に付いた行動や今のプロジェクト全体を観察し、気になることの発見と、論理的に考えること、整理すること、聞き込みをすることです。周りは経験豊富なメンバーだから誰かが気にしているかと思いきや、気がついているのは自分一人だけ、ということはありえます。
 ただ、最初から全てのリスクを上げることはできないと諦めます。ある日突然立派なリスク管理はできません。今できることを心がけるしかありません。

最後には、腹をくくってリスクを飲む覚悟をすること

 リスクを評価し、影響度が大きければ対応方法を決めます。不確定要素の収束の仕方や、影響度を小さくする行動が必要になります。(第16章 リスク軽減のためのインクリメンタル手法)
 ですがリスクはゼロにはできません。最後には自分が、チームが、会社が、飲め込めるまで小さくすることを考えます。

記録と共有についての考え方

 プロジェクトのリスクはプロジェクトが進行すると変化し、リスクが発現することがあります。いつか来るかもしれない発現に備え、リスクやリスクに対する対処方法を記録しておくことで、チームの認識が揃えられます。またリスクを小さくする行動について共有ができます。本質的にはリスク管理ではありませんが、同じ情報を共有し続けることは妥当な判断や対応をするために重要なことです。特にリスクは組織やサービスの特性に依存する性質があり、この知見を貯めていくことが改善につながると考えられます(第9章リスク管理のしくみ)
 私の場合は、チーム構成とコミニケーション計画次第ですが、下記のようなフォーマットでトラッキングして共有します。
 テンプレートとしてコアリスクやよくあるリスクを記載しておくことで標準化も容易になります(第13章 ソフトウェア・プロジェクトのコア・リスク)

  • テンプレート例
リスク内容 スコープ、技術、リーガル、品質、コミニュケーションといった観点で記載します
リスク評価 影響度や発生する確率の大小を見積もります
対応計画 対応計画は下記のように考えます
対応状況 現在の進捗を記載しておきます
処理結果 最終的にどうリスクを飲み込んだか書きます
  • 対応計画 (※『』部分は「熊とワルツを」引用)
避ける 『手をつけない』責任とともに第三者に移転すること。手をつけないことで市場構造の変化に追随できない可能性もあります
抑制する 『リスクが実現した場合にかけなければならない時間と資金を準備しておく』
軽減する 『リスクが実現する前に、後の抑制コストを軽減するための措置を取っておく』
かわす 天に祈る。一般的には、バッファを積みます。『良い戦略とは言い難い』

リスク管理で変わること

 同じプロジェクトは2つとないので、リスク管理の有無で何が変わるかは単純に比較することはできません。ただしリスクを管理することで、「積極的にリスクをとれるようにする」ことはできます。そしてリスクを飲んだ大きなチャレンジが可能になります(第4章リスクを管理すべき理由)。
 無鉄砲に大きなチャレンジをすることと、リスクを飲んで大きなチャレンジをすることには彼我の差があります。特に事業スタートアップではリスクを評価し、対応し、最後に飲むことは大事なことだと考えています。

自己紹介

 9月にTimers inc.に入社したエンジニアのウエです。自分の嗜好と会社の事業の軸を合わせ、これまで以上に技術と管理でビジネスに貢献できるエンジニアになりたいと考えています。自分・家族・チーム・サービスを利用する人々との幸福感を最大化することが自らのテーマです。

 Timers inc.では、組織横断の施策や、プロジェクトのスクラムマスターの役割を担っています。理想とするエンジニアチームは、皆が納得した仕事に集中し、精度よくビジネスに貢献し、そして余暇を十分に楽しむ集団です。アジャイルウォーターフォールのような開発論や、リスク管理などの手法、全ては目的のための手段であると考えています。
 



 子育て家族アプリ Famm、カップル専用アプリ Pairy を運営する Timers inc. では、現在エンジニアを積極採用中です。 急成長中のサービスの技術の話を少しでも聞いてみたい方、スタートアップで働きたい方など、是非お気軽にご連絡ください! 採用HP : http://timers-inc.com/engineerings

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