Timersでプロダクトマネージャーしてます わた と申します。メガネとウイスキーとコーヒーを愛するメガネです。1日に3shotsのウイスキーを飲み、そして、酔い、それでも記憶に残っているものこそ重要!と信じています。
さて、今回は会社で認定Scrum Master研修に行かせてもらう流れの中、事前課題に出ていた「アジャイルソフトウェア宣言」と「アジャイル宣言の背後にある原則」くらいは最低限、読んでこいや!をしてみたら、見つけてしまった「ん?」なトコロについてです。
あえて英語で読んで、それを日本語訳と照らし合わせて見るという、アジャイル開発の古典の理解が深まるポテンシャルのある話なので「日本語版は当然読んでますぜ!」という人にも有用かもしません。
Timersにおけるアジャイル開発の位置付け
Timersでは、アジャイル、というか、Scrumでの開発が原則となっています。一時期、我流な開発で嬉しくはない結果を招いてしまったこともあり、Scrum以外の開発手法をとる場合には、CTOの許可を得ること!ことくらいの重要な価値観となっています。そして、このアジャイルソフトウェア宣言のベースとも浅からず関わっている、Team Geekなる名著に謳われている「HRT」についても、大事な価値観となっています。
1. 「変化を味方につけて」
さて、ここらからが本題です。「アジャイルソフトウェア宣言の背後にある原則」の日本語版と英語版の比較をして、気になったトコロです。
日本語
要求の変更はたとえ開発の後期であっても歓迎します。 変化を味方につけることによって、お客様の競争力を引き上げます。
英語
Welcome changing requirements, even late in development. Agile processes harness change for the customer's competitive advantage.
ここでの「ん?」なトコロは、「変化を味方につけることによって」です。誰も「make changes friends」とか言っていないわけです。よくよく読んで見ると、「Agile processes harness change」とは言っています。「アジャイルのプロセスは、変化(たる自然力)を動力化する」と言っております。harness
という動詞がややこしくて、馬具のハーネスと思いきや、辞書による他動詞の2番にある「自然力を動力化する」ということかと思います。
ここでハッとするのは、変化自体は開発行為において不可避な文字通りの自然力である。そして、自然に発生してくる変化を減少させたり、対抗したりするのではなく、動力化するという方針自体が大事なことだったのかという点です。
そういう意味だと、馬具(ハーネス)も元々は、馬たる自然に走ってしまう自然力を、楽に移動するための動力化をする道具だったわけですね。勉強になりました。だとすると、アジャイルは開発工程における変化を、Teamの動力にすると言っているわけです。すげー!!
2. 「ビジネス側の人と開発者」
日本語
ビジネス側の人と開発者は、プロジェクトを通して 日々一緒に働かなければなりません。
英語
Business people and developers must work together daily throughout the project.
ここでの「ん?」なトコロは「ビジネス側の人と開発者」です。英語では「Business people and developers」となっているのですが、英語で「A and B」な構造になっているところへの気づきです。一般的には同じものではない存在だからandで並列としているのですね。
なぜ「ん?」となったのかというと、「開発者がビジネス企画に参画すること」への考え方です。Timersでは、開発者がビジネス企画に参画することは歓迎される動きですし、プロダクトマネージャーたる僕個人としての価値観としても、いいぞ!もっとやれ!と思うわけです。ですが、アジャイルソフトウェア宣言が前提としている世界観は、Business peopleとDevelopersが断絶しているということなんですね。
たしかに、過去の職歴・現場歴を振り返って見ると「営業はてんでわかっちゃいない!」「開発が言うことを聞いてくれない」的な話は少なからずあったように思います。僕個人が、もともとBusiness peopleとDevelopersという区別を意識していなかったからかもしれないですが、ここが断絶してしまうことは、ものづくりにおいてマイナスでしかないのですね。
結局、原文の価値観と知見は増えないですが、「職種の区別なく関係者みんなで頑張りましょう!」ってことですね。
3. 「チームが振り返り、調整します」
日本語
チームがもっと効率を高めることができるかを定期的に振り返り、 それに基づいて自分たちのやり方を最適に調整します。
英語
At regular intervals, the team reflects on how to become more effective, then tunes and adjusts its behavior accordingly.
ここでの「ん?」なトコロは、日本語がすっと入ってこない点です。公式の日本語訳にケチをつけるようで恐縮なのですが、次の訳の方がしっくりきませんか?
オレオレ訳
定期的に、チームはどうしたらもっと効果的になるかを振り返ります。すると、それに伴って、チームは自分たちの動きを調整し、最適化するのです。
よくよく考えると then
で示される時間と論理的依存性の流れを強く表現された方が、理解しやすいのです。また、文章を分解して見ると
The team tunes and adjusts its behavior accordingly.
と、できる訳で、この文章って自己組織化のことを言っている訳です。自分で自分たちの動きを調整・最適化するし、それがaccordingly
=「定期的なチームの振り返り」によって、その流れでなされると言っているのです。
チームの自己組織化は、アジャイルにおいて重要な考え方のひとつではあるものの明示的には
最良のアーキテクチャ・要求・設計は、自己組織的なチームから生み出されます。
としてしか、言われていません。そんな中での、ここでの定期的な振り返りによる自己組織化と読める気づきはとても大きな発見かと思います。
さぁ、アジャイルしよう!
いかがでしたか。以上、「アジャイルソフトウェア宣言の背後にある原則」の日本語版、英語版の違いで気になった点のまとめでした。
このポストを作ろうと思ったのは、実は「これは今、改めて、大事さを嚙みしめよう」と言うことで、手書きでアジャイルソフトウェア宣言とその背後の原則をノートに写経してみたら、感じるものがあったと言う背景があります。アナログにやったからこそできた体験だったなと思い、筆記具たちへのリスペクトを高めるのでした。良い体験は良い道具から!!
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